オーバーヒート診断とヒーターコア修理 – メルセデスベンツ190E

緊急事態!
高速道路上を絶好調で走行中に室内に水蒸気が立ち込めて、安全に停止できるところまで走行したもののアイドリングもままならない状態とのこと。

一報を聞いた瞬間にヒーターコアの破損と思いましたが、これは旧車ならどんな車でも起こりうるリスクです。原因となっているヒーターコアもしくはそれにつながるホースなどを交換すれば修理はもちろん可能ですが、心配なのはエンジンにオーバーヒートの影響があるかどうか。

オーバーヒートで懸念されるのがヘッドガスケット抜け、ヘッドやシリンダブロックのゆがみ、ベアリングメタルの損傷なのですが、種々の調査でメカニカル的には問題ないことを確認。
このクルマの場合はオーナー自身の手により良いオイルをまめに交換されていることもエンジンの保護につながったことと思います。

エンジンに問題は無いので、ヒーター系統を切り離してプラグを取り付けてエンジン始動して様子を見ます。するとカラカラと言うような異音はまったくありませんが、アイドリングが不安定でときおり1気筒が死んでいるような症状。キャブ車でいうとスロー系統が詰まっているような感じ。調子が良い時はスムーズに回りますし、回転数を上げるとスムーズです。
燃料制御が異常となっているように思えますが、KE-ジェトロの仕組みも加味して診断したところ最終的には点火系の不具合によるものであることが分かりました。原因を取り除くとアイドリングも安定し、これでエンジン自体は復活です。

エンジンに問題ないことをオーナー様に報告して原因と推定されるヒーターコアの摘出と調査にかかります。ヒーターコアを摘出するにはダッシュボードを分解してヒーターボックスを取り出すことになります。傷つけないように、経年劣化したプラスチックを割らないように気を使うところです。

摘出したヒータコアに水を注入してみると樹脂製のサイドタンクからジャジャ漏れでした。経年劣化で強度が低下し圧力に耐えきれなくなって、ぱっくりとクラックが入っていました。

今回の修理では原因となったヒーターコアだけでなく、予防整備としてラジエータ、エキスパンションタンク、すべてのゴムホースなど冷却水系を一新することに。

一部の部品は純正品はもちろんOEM品も製造廃止になってきています。第三のメーカ品のなかから品質の良いものを選定して使います。

原因が明確になりましたので、あとは慎重に組んでいきます。ダッシュを組む前にエンジンを回して入念に漏れ確認もします。樹脂割れなどの補修や積年のホコリなどもキレイにしますので精神的にもスッキリしますね。
そして無事完成です。

室内に水蒸気が立ち込めた時にはさぞかし驚かれたことかと思いますが、オーバーヒートの影響がなかったのは幸いでした。これからも末永く190Eを実用車として楽しんでいただければ嬉しく思います。

お問い合わせはこちらのフォームから

旧車の修理再生ページはこちら

コメント

タイトルとURLをコピーしました