エアコンシステム総交換-メルセデスベンツE280

エアコンガスが数日で抜けてしまうとのことでご相談をいただきました。
これまでエアコン系統には大きく手が入っておらず、「今後も安心して乗り続けたいので、システム全体を見直したい」とのご要望です。

旧車において「エアコンが効かない」という問題は、継続所有を断念する大きな要因の一つかと思います。部分的な修理では別の箇所が追従して不具合を起こすケースも多く、結果的に修理を繰り返すことになります。
その点、本件のようにシステム全体を一度リフレッシュするというご判断は、長期的に見て非常に理にかなったものと言えます。

事前に過去の整備履歴を確認したうえで、今回は以下の内容で作業を実施しました。

  • ヒーターユニット内部構成部品の一式交換(ヒーターコア、ブロア、エバポレーター、エキスパンションバルブほか)
  • コンデンサーおよび周辺部品の交換(リキッドタンク、各種スイッチ類、シール類)
  • A/Cコンプレッサー、ベルトの交換

純正供給が限られる中、社外部品も組み合わせながら必要部品をすべて揃えることができました。年々入手難易度が上がっているだけに、この時点で作業の成否の半分が決まるとも言えます。

まずは現状把握として、冷媒ガスを充填しリークチェックを実施します。
点検の結果、エバポレーター周辺で明確な反応があり、主要な漏れ箇所はここにあると判断しました。

続いてダッシュボード周辺の分解に入ります。
ヒーターユニット脱着は非常に工数のかかる作業で、接続されている配線・ホース・ワイヤーコントロール類をすべて切り離す必要があります。外装側もワイパー周辺まで分解が及びます。

ヒーターユニットを取り外し。右ハンドル車特有の制約もあり、ホース接続部が極めてアクセスしづらい位置に配置されています。組み付け時の作業性も考慮し、この段階で手順と対策を組み立てておきます。

取り外したユニットを確認すると、エバポレーターにはコンプレッサーオイルの漏れ跡が確認でき、事前の診断通りここが主因でした。

ここからは組み立て工程です。
新品部品を組み込むだけでなく、周辺のコンディションも同時に整えていきます。

ダンパーフラップに貼られているスポンジは経年劣化で崩壊しているため、すべて除去して新規に貼り替えます。残存しているスポンジ片や古いコーキングも丁寧に除去し、エアの流れが本来の状態になるよう下地から整えます。

エンジンルーム側のコンポーネントも順次組み付け。ヒーターユニットを車両へ戻した段階で、ダッシュボードを組み戻す前に一度システムチェックを行います。冷却水および冷媒ガスを充填し、

  • 漏れがないこと
  • 各部の動作が正常であること
  • 風量・温度制御が適切に機能していること

を確認したうえで、最終組み立てへと進みます。

すべてを元通りに復元し、作業完了です。

作業としては非常に手間と時間を要する内容でしたが、エアコンシステムを一新したことで、今後は不安なくお乗りいただける状態になりました。単なる「修理」ではなく、「長く乗るためのリセット」に近い内容だったと思います。

お預かりした車両は、ボディ・内装ともに非常に良好なコンディションを維持されており、オーナー様の愛情が強く感じられる一台でした。
この先も快適に、そして安心してW124を楽しんでいただければ幸いです。

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