シートベルトロック機構部品の製作修理-フェラーリ328GTS

シートベルト修理の事例をご覧いただき、ご相談をいただきました。
運転席側シートベルトにロックがかかり、スムーズに引き出せない症状です。

同型車の修理実績はありますが、シートベルトの不具合は原因が一様ではありません。内部機構の摩耗や固着、スプリングの不良など、症状の出方も様々です。そのため本件も、分解点検を行ったうえで修理可否を判断する前提でお預かりしました。

分解調査の結果、原因は内部に組み込まれているプラスチック製ギアの変形でした。ギアがわずかに歪むことでケース内に干渉し、その影響でロック機構が作動したままとなり、シートベルトが引き出せない状態になっていました。

このギアは内部に銅製の皿バネを持ち、その上に金属製ギアが組み合わさる構造となっています。本来はプラスチックギア側の3つのツメで金属ギアを保持する設計ですが、さらに詳細に確認するとそのうち1箇所が折損していました。これにより保持力が失われ、結果としてギアの姿勢が崩れ、干渉とロック不良を引き起こしていたと考えられます。

この時点で単純な修理では対応できない状況です。そこで今回は、破損した現物をベースに代替部品の製作を行う方針としました。

まず3Dスキャナーで形状をデータ化し、3D-CAD上で構造を再構築。応力のかかり方や保持力を考慮しながら設計を見直します。

その後、3Dプリンタで複数パターンの試作ギアを製作し、実際の組み込みと作動確認を繰り返しながら最適な形状を選定しました。

試作ギアの製作と選定

最終的に組み上げた状態で動作確認を行ったところ、通常の引き出しではスムーズに伸縮し、急激な引き出し時にはロック機構が適切に作動することを確認。機能は完全に回復しました。

おクルマを診てもらっているお店では「修理はできない」と言われ諦めていたとのことで大変お喜びいただきました。部品供給が途絶えた車両であっても、構造を理解し適切に手を入れることで、機能を取り戻せるケースもあろうかと思います。

美しいフェラーリ328GTSをこれからも安心して楽しんでいただけることが、何よりのやりがいです。

シートベルトの無理な分解は取り返しのつかない破損につながることがありますので、マネする人は十分に注意ください。

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