助手席側のシートベルトが引き出せなくなったとのことでご相談をいただきました。
最初はベルトの戻りが悪くなり、少しずつ引き出して使っていたところ、ある時すべて引き出した状態で止まってしまったそうです。その後ガタガタと動かしているうちに一度は巻き戻ったものの、今度は完全に収納された状態からまったく引き出せなくなってしまったとのことでした。過去の190Eの修理事例をご覧いただき、弊方へご連絡をいただきました。
ディーラーでは「アッセンブリー交換のみ対応可能」との判断でしたが、すでに国内在庫はなし。シートベルトは使えないと車検にも通らず、実質的にお車が使えなくなってしまいます。まずは状態確認が必要なため、ユニットを取り外してお送りいただきました。
外観を確認したうえで、慎重に分解点検を行います。シートベルト内部のロック機構はとても状態が良く、よくある「部品の破損や変形」といったトラブルではなさそうです。この時点で、少し違う原因を疑う必要があると感じました。

ただし、これ以上の分解は壊れてしまうリスクが高いため、一度は「修理は難しい」とご連絡を差し上げました。ところがその後、お客様から「本国で新品が見つかったので、壊れても構わないからぜひ挑戦してほしい」とのお話をいただきます。「破損を前提としても構わないので原因究明と修理に挑戦してほしい」とのご依頼をいただきます。今後の運転席側トラブルへの備え、および修理成功時の予備確保という明確な目的をお持ちでした。
ここからは慎重さが勝負です。無理にこじ開けるのではなく、最小限の開口で内部の様子を探りながら作業を進めていきます。そして最終的に、不具合の原因を特定することができました。
原因は「プリテンショナー機構」の作動不良でした。衝突時に作動するはずの内部パーツが、通常時にもかかわらず動いてしまい、ロックがかかったまま戻らなくなっていたのです。この状態ではベルトは完全に固定され、引き出すことができません。
原因が分かれば対処は慎重に。該当部品を本来の位置に戻し、動作確認を行ったところ、無事にスムーズな引き出し・巻き取りが復活しました。
本来であれば修理不可として終わるケースでしたが、お客様のご理解とご決断のおかげで、無事に修理までたどり着くことができました。こうした経験は、同じトラブルが起きた際の対応力向上にもつながります。
シートベルトの無理な分解は取り返しのつかない破損につながることがありますので、マネする人は十分に注意ください。





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